痛くなる原因はさまざまです。

スタッフ今堀です。

 

当店では、基本的には他店でご購入されたフレームの調整は

お断りさせていただいております。

調整中にフレームが破損することもありますし、

当店で取り扱っていないフレームを壊してしまった場合、

同じものを取り寄せたりすることができないからです。

購入されたお店で調整をしてもらうようにお願いしています。

 

ただ、

引っ越しをされたり、足が不自由になられたなどの理由で

どうしても作られたお店に行くのが困難という方もおられます。

そういう場合には、有料で可能な限りの対応をさせていただいております。

(ネット通販で購入されたフレームは全てお断りしています。)

 

先日も、

他店でメガネを購入されたお客様が調整の相談に来られました。

とても礼儀正しい女性のお客様で、

「買ったお店で調整をしてもらっても上手くいかなくて、

他店で買ったメガネで申し訳ないのですが、

お金を払いますので相談にのっていただけませんか?」

ということでした。

 

幸い、当店でも取扱いのあるフレームで、

それなりの金額のするフレームでもあったので、

お金を出してちゃんとしたメガネを作ろうとされていた

ということがよくわかりました。

それで掛け心地で苦しんでおられるのであれば、

何とか力になりたいなと思い、

掛け具合を見させていただくことにしました。

 

ご本人が仰るには、

「掛けていると鼻が痛くなる」とのこと。

買った店でも左右の鼻パッドを広げてもらったのだが、

相変わらず痛いのでもう少し広くして欲しいということでした。

 

 

ところが、実際に掛けてみていただくと、

鼻パッドの幅は広いくらい。メガネも下に下がっていました。

買われたお店で鼻パッドの幅をだいぶ広げてもらったようです。

(写真はイメージです。)

 

これ以上広げるとますますメガネがズレ落ちて来て、

前の方にレンズの重量がかかってくるので、

よけいに鼻が痛くなってしまいます。

逆に鼻パッドの幅を狭くして正しい位置にさせてもらいました。

 

 

(写真はイメージです。)

メガネの位置を正しい位置に上げると、

前よりになっていた重心を耳の後ろ側にも分散させることができます。

その上で鼻パッドが全体に当たるように調整しました。

 

今回のお客様は、鼻の根元の骨もしっかりあったので、

鼻パッドの幅をしっかりと合わせてあげれば、

メガネも正しい位置で安定します。

また、レンズの重量もそれほどなかったので、

適切な調整ができていれば、

鼻がどうしようもないほど痛くなるとうことは

なさそうな印象を受けました。

 

とはいえ、これで解決したわけではなく、

あくまでも正常な状態に戻しただけなので、

どうして鼻が痛くなってしまうのかを考えなくてはいけません。

 

鼻が痛くなる=鼻パッドの調整が悪い、

そんな風に思いがちですが、

鼻が痛くなる原因は実は色々あります。

 

先セルと呼ばれる耳にかかる部分の調整が悪かったり、

顔幅に対してフレームの幅が広かったり極端に狭すぎる場合にも

鼻が痛くなることがあります。

 

 

顔幅よりも狭いフレームも掛けた場合、

テンプル(腕)の材質などによっても変わりますが、

たわんだテンプルが元に戻ろうとして、

メガネを前に押し出す力がはたらいてしまいます。

その結果、メガネはきついくらいなんだけど、

よく下がってくるということが起こります。

メガネが下がってくるということは、

重量が鼻にかかってくるので、

当然、鼻が痛くなります。

 

眼鏡学校で眼鏡の調整を教えてもらっていた先生は、

「鼻が痛いと言ってお客様が来られたからといって、

鼻パッドの当たり具合だけを見たり、

すぐに鼻パッドの調整をしようとするのは素人だ。

プロならまず全体を見て判断しなければいけない。」

ということをよく言っておられました。

 

今回のお客様の場合も、

お顔の幅を測定し直し、

メガネの全体を見させていただいて調整をさせてもらいました。

 

ちなみに、

鼻幅を広げてもらったら良いと思って来られていたので、

調整後は少し半信半疑なご様子でしたが、

先日、お店の前で声をかけていただき、

「あれからずっと使っているけど、すごく調子が良いです。」

と笑顔で声をかけていただきました。