その見にくさ、もしかしたらコントラスト感度の低下が原因かも?

スタッフ今堀です。

 

先週、名古屋でオプトメトリックセミナーというセミナーが開催され、

僕も勉強のために行って来ました。

 

 

今回のセミナーのテーマは、

コントラスト感度検査~より包括的な視覚検査~

以前から興味のあったテーマだったので、

個人的にはすごくためになるセミナーでした。

 

内容はけっこう専門的になってしまいますので、

セミナーの中で取り上げられていたコントラストについて

今日は簡単にお話したいと思います。

 

目の検査というと、視力検査が一般的です。

日本では、視力(それも遠方の視力)が重要視されますが、

1.0の視力があれば完璧な視覚をもっているというわけではありません。

これは視覚の限られた情報に過ぎないからです。

 

視力以外にも、これも大事なんじゃないの?ということで、

最近、注目されるようになっているのがコントラスト感度です。

 

コントラストとは、ざっくり言うと、

対象物の明るさとその背景の対比です。

一般的な視力検査で使われる「ランドルト環」視標で言えば、

ランドルト環と背景の輝度の対比となります。

上の画像では、真っ白のバックに真っ黒の環が描かれています。

非常に見やすいのではないかと思います。

このような状態の時、コントラストは高くなります。

右にいくほど環の大きさは小さくなりますが、

コントラストは変化していません。

より小さい環の切れ目の方向(もしくは文字)が判別できれば、

視力も良いと判断されます。

 

ところが、実際に私たちが生活の中で見ている景色や物は、

視力表のようにコントラストが高いものばかりではありませんし、

一定のコントラストのものばかりを見ているわけではありません。

今度は視標の大きさは同じですが、

ランドルト環の色が右にいくほど薄くなっており、

黒から薄いグレーへと変化しています。

環の色が薄くなると、背景の色との差が分かりにくくなるかと思います。

左がコントラストが高くて、右がコントラストが低い状態です。

判別する環の切れ目の大きさは同じなので、

たとえば、これが1.0の視力のランドルト環と仮定すると、

一番左も一番右も同じ視力1.0になるはずなのですが、

右の方がだいぶ見にくく感じるのではないでしょうか?

 

このように、コントラストを低くしていくと判別が難しくなっていきます。

どのくらいまでコントラストを下げても判別ができるかを判断するために

「コントラスト感度」というものがあります。

 

白内障などの眼疾患がある方の場合、

このコントラスト感度が低下しやすいとも言われています。

コントラスト感度が低下していると、

コントラストが高い状態ではよく見えているけれど、

コントラストが低くなると見にくくなる。

そういうことが起こります。

 

最近はこのコントラスト感度の低下が原因で、

見にくさを訴える方が増えていると言われています。

コントラスト感度の低下が原因の場合、

何となく見にくいので眼科や眼鏡店に相談にいっても、

高いコントラストで行われる普通の視力検査では問題なく見えるので、

「十分よく見えていますよ。」と言われてしまいます。

 

このような方には、通常のコントラストの高い視力表ではなく、

先ほどのようなコントラストが低い視標で見ていただかないと、

ご本人が訴えられる「見にくさ」を確認するのは難しいです。

 

視標のコントラストも変化させながら視力を確認していく。

こうすれば、コントラストが高い時にはよく見えていても、

コントラストが低くなると非常に見にくくなるということが確認できます。

今後はこういう視力検査がスタンダードになっていくと良いですね。

 

 

今回のセミナーでは、

より精密なコントラスト感度の検査を紹介されていたのですが、

残念ながら設備の関係などで当店では行うことはできません。

ただ、当店の視力表にもコントラストを変化させる機能は付いております。

コントラストを変化させて見え方がどのように変わるかを

チェックすることは可能です。